強迫性障害改善編④ 強迫観念のやり過ごし方
久々の更新です。
なかなか時間が取れずにズルズルといってしまいました。
最低でも週1更新を心掛けたい。がんばる。
さて前回の記事で強迫性障害の構造を学びました。
そこで症状改善のカギになるのが「強迫観念のやり過ごし方」でした。
僕は曝露反応妨害法を通して会得していったのですが、
いくつかポイントを挙げていきたいと思います。
①強迫観念と闘わない。
受け入れてひたすら不安になる。
前回の記事で強迫性観念の悪化のループにハマるのは
皮肉過程理論、通称シロクマ効果によるものだと紹介しました。
シロクマのことを考えないようにすればするほどシロクマが頭から離れなくなる、
シロクマに対して過敏になり、ちょっとしたきっかけでシロクマのことを想起してしまう状態です。
では、シロクマ効果にはまらないためにはどうしたら良いか?
答えは単純で、その逆、“とことんシロクマについて考える“です。
とことん同じことを考え続けるのって意外に難しいんですよね。
人間って次第にその状態に慣れて飽きていくようです。
さて、とは言っても相手はシロクマではなく不快で恐怖すら感じる強迫観念です。
それを受け入れるということは、自分をあえて不安な状態に置いておく決断をすることになります。
躊躇しますよね。
でも”正しく不安になっている“なら、かならずその不安は薄れていきます。
それを学習できる手法の一つが曝露療法だと思います。
②強迫行為をしない。頭の中でも。
①とも関連しますが、結局強迫行為をするということは強迫観念と闘っているということなので
強迫観念はより強化されて徹底抗戦してきます。
なので、いわゆる曝露反応妨害法よろしく強迫行為はしないようにするのですが、
注意しなければならないのは頭の中で強迫行為をしている状態です。
手洗いを我慢しても、頭の中で「大丈夫」と唱えるのは強迫行為をしているのと一緒です。
僕はまんまとこれにハマっていました。
目に見える強迫行為を我慢すること自体が目的になっちゃうとやってしまいがちです。
①で書いたように、強迫観念を受け入れたのです。
強迫行為はやっても意味がない、諦めの境地に達するのが理想です。
③こんなに不安が膨らむのは強迫性障害のせいだと思っておく
丸腰で強迫観念を受け入れるのはやっぱり辛いです。
なので、こんなに不安なのは強迫性障害のせいだと思っておくことで心の拠り所としていました。
でも、”強迫性障害のせいだから大丈夫“って思ってしまうと②に反してしまうので、
”おっ、強迫性障害きたな。付き合ってやるか。“って覚悟を決める感じです。
やっかいなのは、不安が強迫性障害によるものか判断がつかない場合です。
僕の場合は、心のどこかで少しでも大丈夫と思えれば強迫性障害のせいで誇張されていると信じました。
また、体の反応を観察することでも判断していました。
心拍数が上がる、肩の筋肉がこわばって呼吸が浅くなっていく、頭が熱くなって額が汗が出てくる、
といった不快な症状が出て続く場合は”強迫性障害きたな“と思っていました。
④薬に頼る〜強迫観念を受け入れられないのはセロトニン不足のせいかも〜
改善のためとわかっていても、やっぱり強迫観念を受け入れるのは辛いです。
いつ不安がなくなるかわからない状態が続くより、あきらかにすぐに不安が下がる強迫行為をとりたくなります。
それもそのはずです。人間は目先の報酬より、一定期間後に得られる報酬を低く評価するようにできているのですから。これを「時間割引」と言います。
(詳しくはこちら→すぐにもらえる小さい報酬か 将来にもらえる大きい報酬か)
さらに!不幸なことに、“セロトニンが不足していると一定期間後に得られる報酬をより低く見積る可能性がある”といった論文も出ています。
(詳しくはこちら→遅延報酬の割引に対するセロトニンの効果 ― 精神疾患の病態理解への応用 ―)
つまりセロトニンが不足していると、あきらかにすぐに不安が下がる強迫行為の方が価値があると思ってしまうわけです。
僕自身の感覚とも合致していて、曝露反応妨害法をやってもいいなと思えたのはルボックスを増薬した後からでした。
薬は自転車で言うところの補助輪です。頼ってみるのもいいと思います。曝露反応妨害法が進んで、強迫行為をするより、強迫性障害の症状が改善した方が価値があると十分に分かった後で補助輪を外せば良いのではないでしょうか。
以上になります。
色々と書いてみましたが、言葉で表すのは難しいですね。
不安という大海原に飛び込んで体感して会得するのがやっぱり早いのかもしれません。
次回、実際に曝露反応妨害法に取り組む様子を書いていこうかなぁと思っています。
それでは。
ー補足ー
シロクマ効果について参考にした著書を挙げておきます。
あまり量はありませんが、読みやすい文体でサラッと頭に入っていきます。
(”ホンマでっか!?TV”にも出られている心理学者の植木理恵さんの著書です。)